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今:悠々自適な気分。将来:ホンモノの悠々自適。
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 ほんた。

サイパンマラソンに参加した。昨年の香港・ニューヨークに次ぐ三度目の海外マラソンだ。海外マラソン、といっても、参加者の殆どは日本人で、大会公式ページも日本語のみの上、エントリーも日本国内の大会同様にRUNNETを通じて日本円決済。

フルの部は今回が5回目とまだ歴史が浅い大会だが、ハーフの部は29回目だそうだ。一週間前に東京マラソンに参加するため、迷った末ハーフの部に参加した。東京マラソンでは右足外側のくるぶし下あたりを痛めていたが、毎日湿布していたらサイパン入りした木曜日には気にならなくなった。マラソン前日の金曜日には太ももの筋肉痛もほぼ回復した。

その金曜日夕方にスタート地点近くの公園でゼッケンを受け取る。この場でコースの説明会が開催された。この後何度か「手作り感あふれる大会だなあ」と感じることになるが、この説明会がそう感じた最初のシーンだった・・・いや、最初のシーンは公式サイトを見たときか。あまり説明慣れしていない感じの日本人の方が一生懸命コースの説明を日本語でしてくださるのだが、地理がわからない私にはどうもわからない。今まで参加したイベントではここまで熱心に説明があることはなく、「ひょっとして当日は誘導が全く無くて、ちゃんと聞いていないと道を間違えたりするのだろうか」と不安になった。実際には、少なくともハーフマラソンは説明を聞かずとも問題なくゴールにたどり着けると思うが。

IMG_7479.jpg この説明会の途中で突如雨が降ってきた。慌てて屋根の下に逃げ込む参加者。その後、スパゲティが振舞われたが、特大タッパーの中にぎゅうぎゅう詰めになっているスパゲティに参加者が殺到する姿を見て戦意喪失。その中に加わることなく会場を後にした。

当日。ハーフマラソンは朝5時45分スタートだ。滞在していたホテルからスタート地点までは5分もかからない。ゆっくり4時半に起床し、コンタクトを入れて右膝と脛にテーピングを施して5時20分過ぎに出発。まだ外は真っ暗だ。スタート地点に近い方のエントランスはまだシャッターが閉まっていて、遠回りしてホテルを後に。歩きながら朝ごはん替わりにパワーバーをかじる。

スタート地点には既にかなりの参加者が集まっていた。かなりの、といってもハーフの参加者は200人もいない。最後尾に並んでもスタートロスなんか10秒くらいではないだろうか。号砲まで20分を切っている。まず、先週の東京マラソンで調子が悪かったGPSをいじる。やはり今日も、衛星は捕捉できているのに距離が計測出来ていない。故障かな、と思いつつ、試しに初期設定からやり直したら復活した。

スタートまで10分を切った旨のアナウンスが日本語であった。その復活したばかりのGPS時計によると5時30分過ぎ、まだ15分前を切ったばかりのはずだ。案内ミスかと思いつつ、どこか水が飲めるところはないかとキョロキョロする。五分前を切った旨のアナウンス。また間違えているよ、と思いながら、スタート時刻が実は5時40分なのに自分が記憶違いしているのではないかと、水を諦めて慌てて靴ひもを結ぶ。

手元の時計で5時40分過ぎ、号砲。本当にスタートしてしまった。ほぼ最後尾からだったが、スタートロスは10秒あるかないか。十分な道幅があり、最初から快適に走り出せた。街灯もほとんどなく、すぐに真っ暗になる中、飛ばしているわけではないがどんどん抜かして行く。確かすぐに右に曲がるはずだが、案内はいるのだろうか。もしスタッフはおらずに看板か何かがあるだけだったら、先頭が間違ったらみんな間違えるだろうな、と考える。さすがにこれは杞憂で、前を走っているランナーたちがすぐに右折。あとは一本道だ。

交通規制をしているわけではなく、二車線の所は歩道側一車線分、一車線しかない所は路肩がコースになっている。(早朝なのでほとんど自動車は走っていないが)時々自動車が追いぬいていく車道とは、コーンにライトをつけて区切ってある。コーンは終始、それなりの間隔で設置されているので、真っ暗な中でも道を見失うようなことはないが、前を走っている人のちょっと脇に出た時に何度かぶつかりそうになった。

昼間は30度近くまで気温が上がり海に入れるほどだが、夜明け前はそれほどでもない。とはいえ、1キロも走らないうちから額に汗がにじんでくる。一週間前は寒さに震えていたというのに。寒くなければ膝はあまり心配ない。問題は先週痛めたくるぶし下の痛みが再発するか、再発するとしたらいつ頃かだ。体調は悪くないので、キロ五分を少し切るくらいのペースで行ける所まで行ってみよう。少し風があったので、同じようなペースで走っている背の高い上半身裸の外国人男性の後ろにしばらくくっついていく。それにしても本当に真っ暗だ。

エイドではいつも通り必ず水分補給。何度かにわけて一口ずつ水を飲む私には、紙コップを受け取ってからゴミ箱までの距離が短過ぎた。何も無いところにコップを捨てるは少し気が引けて、次のエイドまで紙コップを持ったまま走っていた。ほとんど全行程で紙コップを持っていたことになる。

ほとんど平坦なコースを南下しているうちに、ほんの少し空が明るくなってきた。この頃、懸念していた右足外側くるぶし下に違和感を感じ始める。まだ三分の一ほどしか走っていない。やむを得ず、ペースを少し落とすことにした。少しはこの違和感が痛みに変わるまでの時間を稼げるだろうと思ったが、痛みに変わり始めるまでそう時間はかからなかった。

ちょうどその頃、先頭で折り返してきた女性ランナーとすれ違う。笑顔で「ガンバレー」と声をかけられた。おそらく世界選手権に出場したことがあるという小崎まりだろう。余裕たっぷり、すごいものだ。フルの部の先頭ランナーにも、折り返しに着く前に抜かれてしまう。

自分が折り返しに着く頃にはもう日が出ていただろう、かなり明るくなっていた。自分の後ろを走る選手との距離は100メートルくらいは離れている。さて、どこまで追いつかれずに逃げられるだろうか。普段の大会ではスタートからゴールまで自分の前も後ろも人だらけなので、あまり自分の位置なんか気にすることはないのだが、人数が少ないといつもと違った楽しみ方があるものだ。

Image160.jpg 折り返してからは向かい風。足の痛みと重なってキロ5分30秒ペースまで落ちる。この大会は距離表示が全くなく、GPSが非常にありがたい。

コースは単調だ。平坦な田舎道をただ黙々と走る。時々、コース沿いの公園でキャンプなのかバーベキューの準備をしていたり、野菜か何かの朝市が開かれていたりしている。また、海がだいぶ近くまで迫ってきて、横にきれいな海を見ながら走れる区間が少しあるが、意外にもわずかな区間しかなく、その区間でも海のすぐ脇を走るわけでもない。

折り返しても走るコースは一緒なので、折り返し以降のエイドでは向かってくるランナーと交錯しそうになることがある。まあそんなに混雑しているわけではないので、それほど危険を感じるわけではないが。

沿道で見物している人はほとんどいない。ただエイドでスタッフが声援を送ってくれるのはありがたい。ほとんど日本語、ここは本当に海外なのだろうか。

くるぶし下の痛みは酷くなる一方。道路脇が芝になっている所では芝の上を走ると幾分か痛みが和らぐような気がして、アスファルトを外して走る。フルの部のランナーとすれ違うたび、フルにエントリーせずにハーフにしておいて良かった、とつくづく思った。

ペースはキロ6分台まで落ちたものの、それでも順調に距離は消化していく。突如、残り1.5キロだったか1.4キロだったかの案内が目に入る。ん?GPSではまだ2キロ以上残っていることになっているぞ。ふと足が軽くなり、スピードが少し上げられるようになる。追いつかれてから少しの間並走していた女性ランナーを引き離してゴールへ向かう。何とか足はこのまま持ちそうだ。

ゴールテープが張られていた。テープを切るなんておそらく小学校の運動会以来ではないかと思うが、気分がいいものだ。ゴールタイムは1時間47分台。ゴールしてすぐに記録証を発行してもらえる。足を痛めたことを考えると、ちょっとおかしい。GPSによると、距離が1キロ近く短いようだ。高低差もないので、壊れてなければ数百メートル短かったのではないだろうか。順位は20位台、年代別順位では4位だった。一桁というのはちょっとうれしいが、きっと8人とか10人とかくらいしかいないのだろう。

完走Tシャツも受け取る。高機能シャツではなく普通の綿のシャツ。残念ながらデザインがイマイチ。室内専用かもしれないが、有効に使用しよう。

Image168.jpg ポツポツとランナーがゴールしてくる中、足を引きずりながらホテルに戻る。シャワーを浴びた後、少しの間アイシングしてホテル内のレストランで朝食。完走したばかりのランナーが結構目に付く。

夜には完走者パーティがあるというので参加。4~6人がけのテーブルが並んでいる。なんとなく若者のグループには混ざりづらく、中年の夫婦に相席させて頂く。名古屋からお越しになったとのことで、夫婦でもうなんどもサイパンマラソンに参加しているそうだ。

IMG_7515.jpg パーティには、スターターを務めたあとゲストランナーとしてフルの部を走ったたむらけんじと、ハーフの部に参加したグラビアアイドルの瀬尾秋子が参加していた。残念ながら、たむけんについては名前だけは知っているものの、あとは全く知らない。

パーティは、スポンサーのお偉いさん挨拶の後、バイキング式の食事をいただきながら、表彰式と抽選会。挨拶終了後に食事スタートとなるため、食べ物があるテーブルに長蛇の列ができた。私はちょうど食べ物があるテーブルに近い席だったので、幸運にもいち早く食事にありつけた。表彰式は、年代別の一位も表彰されるため、すごく長い。そして、表彰対象者の関係者を除いて、段々飽きてくる。抽選会では数番違いでニアミスがあったものの当たることはなく終了。こういったパーティをやるには参加者が増えすぎている感じがした。

IMG_7544.jpg ちょうど帰ろうとした時、花火が打ち上がった。数発で終わるかと思ったが、意外にも数分間続き楽しむことができた。

総じて楽しかったものの、「また来年も参加したいか」と言われると、今は一回参加すれば十分かな、という気がしている。それでも来年はフルの部にエントリーしていたりするかもしれないのだが。


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